三好春樹の介護日記54「NHK『介護殺人』について」

NHKスペシャル「介護殺人」という番組を見た人は多いだろう。

やれやれ、と私はため息をついた。

これで、ますます認知症は悲惨で、認知症介護は地獄だというイメージが強くなってしまう。


認知症は悲惨ではない。

深い認知症でも、心身ともに落ち着いて生活している人を私は何百人も見てきた。

それどころか、尊敬できる人まで何人もいる。


認知症介護は地獄ではない。

認知症介護が不在であることが地獄なのだ。


認知症が脳の病気であるという医学的理解ばかりが広まっている。

しかしそこからは介護の方法は出てこない。

むしろ、あってはならない異常な状態であるとされることで、認知症老人の問題行動を作り出している。
(注:「問題行動」とは「問題介護によって生じた老人の行動」の略である)


いま、虐待や殺人に至らないために必要なのは、狭い医学的理解ではない。

もっと深い人間学的理解だ。


殺人のきっかけになった弄便も、人間性の崩壊ではなく、口唇期と快・不快の原則への回帰(退行ではない)と考えれば了解可能で、そこから介護も見えてくる。

便秘やオムツへの排便といった不快を解消すればいいじゃないか、というふうに。


つまり、認知症とは、人間の基本の部分への回帰であるといえよう。

三好春樹
三 好 春 樹

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